ACSのOpen accessのジャーナルから2021冬 #souyakuAC2021 #Japanese-post

最近何故か複数のサイトを管理しているiwatobipenです。ちなみにこのサイトのBlog更新頻度が低下しているのはそのせいではなく、純粋に忙しいためです。今年も残り後少し、早いものですね。

そして今年もまたAdventCarenderの季節になりました。

私はOSSやOpen Accessのジャーナルが好きです。もちろん職場でも自宅でも利用できるということもありますがそれ以上に良いコミュニティーが形成されているものが残るからです。さて、今日はACS系のジャーナルでOpen Accessのもので最近気になったものを紹介させてもらおうと思います。ACS Bio & Med Chem Au というジャーナルでACS系においては珍しくアクセスフリーです。カバー範囲もライフサイエンス系です

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsbiomedchemau.1c00033
This includes experimental and theoretical studies on the chemical, physical, mechanistic, and/or structural basis of biological or cell function across all domains of life.

で今回読んだのは以下の論文です。

Title ’Discovery of “Molecular Switches” within a Series of mGlu5 Allosteric Ligands Driven by a “Magic Methyl” Effect Affording Both PAMs and NAMs with In Vivo Activity, Derived from an M1 PAM Chemotype’
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsbiomedchemau.1c00024

NAM/PAMとはnegative/positive allosteric modulators の略でそれぞれ内因性のアゴニストの親和性や効果を弱める/強めるものとして定義されます。Allostericなので、リガンドとは異なるサイトに結合するものになります。今回のターゲットはmGlu(代謝型グルタミン酸受容体ファミリー)になります。

著者らのチームではM1を標的としたプロジェクトのバックアップとしてVU6005549(化合物10)を取得していたようですが、ADMEが悪くMETIDをした結果ベンジル位がやられているということを突き止めたようです。化合物10はアブストラクトにのっています。

https://pubs.acs.org/na101/home/literatum/publisher/achs/journals/content/abmcb8/2021/abmcb8.2021.1.issue-1/acsbiomedchemau.1c00024/20211210/images/medium/bg1c00024_0014.gif

代謝部位がわかったのでそこをブロックするというのは常套手段。著者らはこの部分を酸素に変えてエーテルリンカーの誘導体を作っています。合成大変そうだけどジフルオロメチルとかはどうなんでしょうね。ケトンをDASTでF化できるのかなぁ、、、

さてそれはさておき、CH2をOに変えた結果M1の活性は消失し、M5の活性がでてきたとのこと。更にこの変換で得られたScaffoldは新しい! 実際テーマ担当していたら非常にアツいストーリーになりそうですね。

得られた17aをベースに展開した結果ピリジン上のメチル基を取ることで今度はmGlu5 のNAMになっています。2DでみるとCH2がOになっただけ、CH3がHになっただけという些細な変化なのかもですがタンパク質にとってみたら大きな変化だということが推察できます。

ピリジン上のメチル基を水素に変えるのは、末端なのでマジックな感じですが、その前のリンカー部分のC>>Oの変換は2Dでは小さい変化ですが、配座的には大きいかもと推察してみたりします。

ちょっとRDKitを利用して3次元化してみてみましょう。コードをGistに上げました。

CとOリンカーの分子2つをExampleとして使っています。EmbedMultipleConfsで各分子それぞれ50はいざ発生させた後、MMFFでエネルギーの最小化をしました。MMFFOptimizeMoleculeConfsの戻り値でエネルギーが得られるので最後にそれぞれの分子の最小値を取得し3Dで可視化しています。py3DmolのGridモードを利用してGridで表示しています。

それぞれの分子の極小エネルギー配座の3D view

さらについでなのでリンカー周りの二面角を計ってみましょう。rdMolTransforms.GetDihedralDegメソッドにconformer object と対象となるAtom idex 二面角なので4原子分を渡すとその角度が得られます。IPythonConsole.drawOptions.addAtomIndices=Trueとしておけば2D描画の際にAtomIndexが得られるので、それをベースに考えることができます。

Random seedの設定をしていないので毎回配座の結果が変わると思うのですが自分がやった際の結果はリンカー周りの二面角C,Oでそれぞれ79度、 -58度となり結構異なる結果となりました。実践的にはMacroModelとかOMEGA、MDなどとCSDなどのデータベースなども踏まえた考察が必要かと思います。

https://nbviewer.org/gist/iwatobipen/051ba0529c051907378fb2213d0ac04d

今回は論文のサラッとの紹介となんとなくRDKitの3次元構造のハンドリングのサンプルコードを紹介するといった感じになりました。

昨今のトレンド的に、様々なモダリティ(ペプチド、PROTAC、RNA、ADCなどなど )低分子はもう終わりだみたいなことを耳にすることもありますが、本当に小さな変換で劇的に作用の仕方や活性を変えて標的蛋白に作用するという点は、今も昔もエキサイティングな事象だと思います。まだまだ低分子これからも頑張れる領域あるんじゃないかなー。と個人的には思っています。

これからの創薬科学者は低分子オンリーというのはなかなか難しいのかもですが、すべてのベースとなるケミストリーは昔も今も変わらず重要。ということで研究者の方は引き続き自己研鑽、切磋琢磨が必要だな−思った今日この頃。

クリスマスまで後少し。サンタさん私にも来てくれないかなぁと思いつつ、今日のブログを締めようと思います。

寒く乾燥した季節になりました。皆様どうぞ風邪など引かず良いクリスマス、年末をお過ごし下さい。

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Published by iwatobipen

I'm medicinal chemist in mid size of pharmaceutical company. I love chemoinfo, cording, organic synthesis, my family.

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